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Episode 5-ss
「でなぁ諒!! 温泉の景色が綺麗でなぁ!!」
「そうそう!! それでその後の料理がまた絶品!!」
「……あぁ……そう……」
時刻は夜中十二時を回ろうとしている。
べろんべろんに酔って帰ってきた我が両親を前に諒は正座させられて旅先の話を聞かされていた。
「おい! 聞いてるのか!?」
「あーはいはい、聞いてます聞いてます」
「それでね、料理がおいしいの!」
「その話もう聞いた」
「景色が……」
「もう聞いたから」
「本当はね、お酒は飲むつもりじゃなかったんだけどね……」
「そうそう! 土地名産の酒があるって言うからついついなぁ!」
「飲んだんだな……」
「でな! 温泉の景色がな!!」
「でねでね! 料理がね!!」
「……今日は厄日だ……」
どこまでも損な諒だった。
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